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動物病院のまいにち 2025.1

  • 執筆者の写真: Haruna Takeda
    Haruna Takeda
  • 5月5日
  • 読了時間: 4分
花畑

動物病院での日々は、出会いと別れの連続です。このシリーズでは、どうぶつたちが教えてくれたことを日記にして綴っていきます。生死に関わる直接的な表現もありますので、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

なお、使用している画像はイメージであり、日付は特定を避けるためにDay◯としています。


※記事の一部にプロモーションが含まれる場合があります※



Day1

キジトラ

腎臓が悪くて2-3日に1回点滴しに来ていた子。

亡くなったと、飼い主さんから連絡があった。


輸血すれば、今より少しは元気になる。

だけどその後はまた今と同じような状態に戻る。

要するに、命の期限を少し先延ばしにすることはできる。


獣医は命を救うのが仕事だから、当然その提案をした。

だけど飼い主は輸血を望まなかった。


ただその子が、苦しくなく、痛くなく、穏やかに安らかに逝ってほしいだけだから。

長く生きることは望まない、と。


私が最後に見たあおちゃんは、飼い主さんの膝の上で穏やかに座っている姿。

最期まで、家族と一緒に過ごせてよかったね。

また会えるといいね。


R.I.P. あお



Day2

ロシアンブルー

普段はお外で生活しているというクロちゃん。


風邪症状があり、何日か前からご飯を食べられていないようだと来院。

キャリーから出したときから、なんだか呼吸がおかしいなと感じた。

でもその自分の直感を信じることができなかった。


そもそも風邪で来ているわけだし、具合が悪いんだろう。。

そう思っている間に呼吸が止まり、痙攣。


もちろんやれるだけのことはやったけど、助けられなかった。

私があの時、少しの違和感でもすぐに先生に伝えていれば。


最近「多様性の科学」という本を読んでいる(正確にはAudibleで聞いている、だけど)。

まさに「副操縦士は機長に意見するより死ぬことを選ぶ」、ヒエラルキーの問題である。

自分よりも、知識・経験・地位のある相手には、

何かを進言することよりも人は死(何も言わないこと)を選ぶ。

それがニンゲンである、というもの。


頭では分かっていたが、これが出た。くそう


連れてきたのはおばあちゃん(多分90歳近い)とその娘さんらしかった。

おばあちゃんは最近心臓を悪くして手術をした。

その時、三途の川を見たんだと私に話した。

ところが川の前で黒いものが通せんぼしていて、

それでおばあちゃんは川を渡らずに戻って来たらしい。

今は杖をつきながらも、自分の足でしっかり歩いている。


あれはきっとクロだったんだ、自分の身代わりになってくれたんだって、

「かわいそうなことしたな。オレが逝けばよかったんだ。」って、

涙ながらにそう私に話してくれた。


私は何も言えなかった。

「おばあちゃん、元気で長生きしてね」って、肩を抱いてあげればよかった。


R.I.P. クロ



Day3

トイプードル

18歳のおばあワン。

腫瘍があり、足腰も弱ってすでに立てなかった。

横になったまま、痛みにもがいている。

食べることも飲むことも、大好きな飼い主さんに近寄ることもできない。


癌が彼女を蝕んで、きっと寝ても覚めても痛くて苦しいのだろう。

時折キャンキャン鳴きながら、手足をジタバタさせている。


そんな姿を見ていられないと、飼い主さんは「病院で看取る」という選択を選んだ。


年齢も年齢だし、回復するような容体でもなかったから、

「楽にしてやる」という選択肢もあることを獣医は説明した。

だけど「とても自分にはそんなことはできない」と、

飼い主さんはワンちゃんを入院させ、そこで看取ることを選んだ。


どんな選択も間違いではない。

どうぶつは自分で選べないから、決めるのはいつだって飼い主だ。


明ちゃんの声が聞けたなら、どんなに良かったか。


R.I.P. 明




Catlog

大切なペットの異変に気づくのは、どうしたって飼い主だ。

だけどその違和感を言葉にして人に伝えることはとても難しい。


Catlogは、猫の行動を24時間365日記録できる首輪型のデバイス。

記録したデータはアプリで見ることができて、

動物病院での「いつから?」「どのくらい?」などの問診にも役に立つ。


走る・食べるなどの行動だけでなく、

体重の変化やおしっこ・うんちの量、回数なども記録できる。

何か変化があった時には通知で教えてくれる便利グッズ。


留守時間が長い家庭や多頭飼育の場合にも役立つだろう。

文明の力には頼るべき。



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