茨城県の動物保護施設KIDOGSに行ってきました!
- Haruna Takeda
- 4月17日
- 読了時間: 8分
更新日:5月6日

偶然見つけたオンラインイベントにて、「NPO法人キドックス」という団体を知りました。KIDS×DOGS、一体どんなところなのでしょうか?百聞は一見にしかずということで、見学ツアーに参加してきました!
※この記事は、2024年6月4日にnoteに投稿したものを加筆修正したものです。
出会い
Peatixのサイトをなんとなく眺めていたら、「KIDOGS」の文字を見つけました。「KI…DOGS…?」写真にも🐶がいるし、はて、動物関連の会社なのかな?と思い、ページをクリックしました。
このセミナー自体は転職希望者向けの内容で、登壇者のキドックス岡本さんは、前職のシステムエンジニアのスキルを活かして、現在キドックスの事務局長をされているそうです。
このイベントでの出会いをきっかけに、さらにキドックスのことを調べてみるとあらびっくり!なんて素晴らしい活動をされていることでしょうか!!✨そして、動物保護にはこんな可能性があったのか、と新たな気づきを得ることができました。
キドックスの取り組み
詳しくはキドックスさんの公式サイトをぜひ見ていただきたいのですが、僭越ながらごく簡単に紹介させていただくと…
人がその人らしく、動物がその仔らしく、本来持つ可能性を発揮し、心身豊かに生きられる社会
を目指して活動されている、動物と人間の福祉活動をされているNPO法人です。
保護犬のお世話や訓練を、不登校・引きこもりなどの子ども・若者たちが担うことで、彼らが共に支え合いながら成長できる居場所づくりと、その機会を提供しています。さらに詳しくその活動を紹介すると、
愛護センター等に保護されている犬を引き出し、キドックスのドッグシェルターで若者たちが保護犬のお世話をする
若者たちが日々保護犬のお世話や訓練を行い、保護犬は家庭犬へと成長していく
デビュー準備ができた犬から、併設するキドックスカフェ(ドッグカフェ)へとデビューし、室内での生活や知らない人(お客さん)と触れ合うことに慣れていく
若者たちはキドックスカフェでの就業経験を積みながら、同時に保護犬の譲渡活動も行う
里親の希望があればトライアル→正式譲渡し、その後も卒業犬としてキドックスのドッグランやペットホテル、トリミングサービスなどを利用することができる
キドックスにはドッグトレーナーさんやトリマーさんがいます。またキドックスカフェでは、子ども・若者たちが調理や接客を担当し、同時に保護犬とその里親希望さんとのマッチングもお手伝いしています。
▶︎ キドックスの活動を紹介した書籍「捨て犬たちとめざす明日」 ◀︎
いざ、見学ツアーへ

そんなキドックスは茨城県つくば市にあります。
当日の参加者は6名でした。日頃からキドックスカフェを利用されているというご近所の方が2名、代表上山さんの古いご友人だというご夫婦、そして私とその同僚(誘った)でした。
ツアーは初め、代表の上山さんからのキドックス全体の紹介、「動物介在活動」の説明、その後は施設全体を案内してもらいながら犬と若者たちの様子も見学させていただきました。最後に質疑応答という流れで、参加者同士の交流もありました。
90分のツアーはあっという間で、見足りない!聞き足りない!が正直なところでしたが、今度はキドックスカフェが営業している時にもう一度来ようという目標ができました。見学ツアーは毎月開催されているようですので、お近くの方はぜひ。
▶︎ キドックスのイベントページ(Peatix) ◀︎
印象に残ったこと

キドックスでは、地域の方との関わりを大切にしているとお話しされていました。地域の農家さんと一緒に敷地内に畑を作り、できた野菜で子ども食堂を開いたり、地元のレストランとコラボしてカフェメニューを考案・提供したり。
定期的に見学ツアーやボランティア養成講座を開いて、地域住民の理解を得るだけではなく、地域を「育てる」こともされています。
動物保護や若者の就労支援などは、暗くネガティブな印象が強いと思います。地域の人を積極的に巻き込むことで、地域全体で保護犬や子ども・若者の居場所を作りたいということをおっしゃっていました。
この建物を建てる際も、山奥や町の外れなどではなく、地域住民の生活の一部に溶け込むような、多くの人の目に触れる場所をあえて選んだとおっしゃっていました。私にはその視点はなかったので、とても印象に残っています。
「動物保護の問題は、人間の福祉の問題でもある」とおっしゃっていたのも印象的でした。
犬の多頭飼育崩壊を起こしたある家族は、長い間地域社会から孤立していて、「新しい子犬が誕生するたびに自分の家族が増えたようで嬉しかった」と話したそうです。孤独感や寂しさを動物で紛らわそうとした事例として紹介されていました。このような場合、行政や福祉支援団体などが早期に介入して、家族を孤立から救うことができていれば、多頭飼育崩壊には至らなかったかもしれません。
動物福祉だけでもダメだし、人間の福祉だけでもダメ、両方からのアプローチが必要なこともあると学びました。
感動ポイント

私がキドックスの特にいいなと感じた点は、社会に「拓かれている」ところです。動物保護業界は暗く悲しい、ネガティブな印象が根強く、団体や施設、その活動などは閉鎖的になりがちです。キドックスはそのイメージを払拭しているような印象を受けました。
清潔感のある施設と誰でも利用できるカフェやドッグランはもちろんのこと、地域との連携、運営に関する情報の公開や活動内容の発信も積極的にされており、非常にオープンな活動はとても好印象です。
「ヒューマンアニマルコミュニティセンター」を謳っているだけあり、まさに人間と動物の繋がりが感じられる、みんなから愛される場所だなと思いました。私もこんな施設を目指したいです。
日本語教育との親和性
さて話は変わりますが、私は以前から、動物を題材にした日本語教材を作りたいと思っていました。それは、日本語を自分の意思では学んでいない子どもたちに向けたものです。
親から言われ、もしくは環境のせいでどうしても日本語を学ばなければならない状況におかれた子どもたちは、学習へのモチベーションが高いとは言えないことがほとんどです。なぜなら、「日本語を使ってしたいこと」つまり言語学習の目的・目標がないからです。当然と言えば当然なのですが、そこをなんとか改善して、楽しく自然に学ぶことができればと考えていました。そこで思いついたのが、動物を題材にすることです。

私は自宅で3匹の猫を飼っており、時にその猫たちがオンラインレッスン(画面)に参加してくることがあります。すると学習者さん(とりわけ子ども)の目は、途端にキラキラと輝き出します。語彙や文法を覚えるのが苦手な子でも、
「あくび🐱は何歳?」「6歳!」
「オジー🐈⬛は何色?」「黒!」
「めーちゃん🐈はどこ?」「机の上!」
と、猫のこととなると何の抵抗もなく学び、答えるのです。「自己紹介ビデオで猫のことを話していたからあなたのレッスンを選んだ」と言われたことさえあります。
「猫(動物)が好き」というのは、言語を学ぶ立派な動機になるのではないかと思ったのです。何か言いたいことがある、聞きたいことがあるというのは、言語習得においてとても強い学習動機になります。
そしてなんと、同じことをキドックスの代表上山さんもおっしゃっていたのです。
不登校や引きこもりの子ども・若者の中には、「(あなたは)何が好き?」という質問に答えられない人もいる。自分のことを聞かれると、何と答えたらいいのかわからず、口を閉ざしてしまう。でも「この子🐶はどんな子?」と聞くと、途端に話し出す。自分が担当した犬の訓練の成果について、大勢の前で流暢に発表することができる。自分のことはうまく話せなくても、犬を介せばコミュニケーションが取れるようになっていく。
そんなことをお話しされていました。これはまさに私が考えていたことと同じじゃないか!と、コネクティングザドッツした瞬間でした。やはり間違っていなかった、それを確かめられただけでも見学に行ってよかったです。「私がやりたかったことって、動物介在活動なんじゃないか?」と思った瞬間でした。
動物を介在させて日本語を学ぶ日本語学校なんてできたら、それはそれは最高におもしろいでしょうね!単身で異国の地へ来て、心細い思いをしている学習者さんの癒し、励みにもなるでしょう。
小さいお子さんには保護犬の訓練は難しいと思うので、猫の介在活動もアリだなと思いました。子猫へのミルクボランティアを通して、命の大切さを学んでもらうというのもおもしろそう…。妄想は膨らむばかりです🤤
最後に
選択に迷ったら、「心躍る方へ」が私のモットー。ワクワクしないことを頑張る必要なんてないと思っています。人生は思ってるより短いんだから。
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